2018.03.16 Fri

Written by EDGE編集部

コラム

全日本選手権MVPの名古屋・星龍太。「黒歴史になるんじゃないか……」。主将の重責を背負い続けた2年間。

写真:本田好伸

全日本フットサル選手権は、名古屋オーシャンズが決勝でシュライカー大阪を破り、3年ぶり5回目の日本一となって幕を閉じた。名古屋はこれで、リーグカップ戦、リーグ、選手権の3冠を達成。彼らが国内タイトルを総なめしたのは5年ぶりのことだった。2016シーズンにFリーグ王座陥落を経験して、その責任を背負っていたキャプテンの星龍太は、リーグ優勝で涙し、選手権優勝で、清々しい表情を見せた。敗北から立ち上がり、再びの頂点に舞い戻った男は、この2年間で、あらゆる感情と向き合い続けてきた──。
(文 本田好伸)

1年前の屈辱があったからこそ立ち上がれた

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「全日本フットサル選手権大会、MVPは星龍太選手です──」

 会場MCがそう告げると、星龍太は驚きと照れた表情を見せながら、壇上へと進んだ。2018年3月11日に幕を閉じた選手権で、名古屋オーシャンズは決勝でシュライカー大阪を撃破して、3年ぶり5度目の日本一の座に輝いた。今シーズンの彼らは、国内で獲得できる3つすべてのタイトルを手に入れて、最後の大会の最優秀選手に、星が選ばれた。

「最初は、僕なの? って思いました。個人賞は攻撃の選手がもらうことが多いですし、守備だとゴレイロがもらうことはあるけど……。でもだからこそ、フィクソの選手として評価してもらえたのは嬉しかった」

 星が言うように、守備に特化した選手が選ばれることは珍しい。だが星は、その賞にふさわしい働きを示した。味方を鼓舞する闘争心と球際の強さ、攻撃へと転じるアグレッシブさが際立った。単純な「フィジカルの強さ」だけではない「アグレッシブさ」は、多くの日本人選手が追い求めるものだろう。星は準決勝で先制点を挙げ、決勝でも先制点をアシストするなど、ゴールやアシストという決定的な仕事もこなした。

「3冠を取れたけど、どうしても昨シーズンから振り返ってしまう。それだけ、あの悔しい思いが強かったので。この2年で、AFCクラブ選手権と併せてすべてのタイトルを手にしてホッとしている。これは、ベンチ外も含めたメンバー、スタッフ、サポーターが一丸となって戦えたからこそ。今日も(試合中に)2人のケガ人が出ても、最後まで気持ちを出して、自信を持って戦えたからこそ、結果を引き寄せられたと思う」

 優勝を決めて、表彰式を終えた星は、MVPのトロフィーを片手に記者会見に臨むと、そう話した。

 この2年。星はもちろん、名古屋はプライドを取り戻すために戦い続けた。2016シーズン、前人未到の9連覇を達成した翌年「V10」に挑んだ彼らは、大阪にその座を明け渡した。キャプテンを任されていた星はその責任の重さを誰よりも感じていた。

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誰よりも勝つことを考えた2年間だった

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