2018.03.16 Fri
Written by EDGE編集部
▶コラム
関口優志と篠田龍馬。名古屋オーシャンズの3冠を支えた“2人の正ゴレイロ”。
ともに代表レベルだからこそ成り立つ競争原理

篠田は関口ほどの派手さはないものの、リーグ屈指の安定感を誇る ゴレイロだ。身体能力の高さでは関口に軍配が上がるが、正確なポ ジショニングやリーグNo.1の呼び声も高いスローイングなど、 関口を凌駕している部分も多い。
16-17シーズンのFリーグプレーオフ2ndラウンドの対ペス カドーラ町田戦。名古屋の10連覇が幻と消えたその試合で、篠田 はピッチに立っていた。敗戦後のミックスゾーンで、「これからず っと背負っていかなければならない敗戦」と試合を振り返った。名 古屋での在籍歴が長いからこそ、その責任を誰よりも重く受け止め ていたのだ。
「今季は絶対にリーグ優勝しないといけない。そして優勝が決まっ たその瞬間に、必ずピッチに立っていたい」(篠田)
今季の開幕当初からそう話していた篠田。1月のプレーオフ決勝で は、その言葉通り、優勝決定の瞬間をピッチで迎えた。様々な思い が込み上げてきてもおかしくない状況だろう。だが、優勝が決まっ た直後の篠田の表情はいつもと変わらず、いたってクールだった。
「今回ばかりは優勝したら泣いたりするのかなーとも思っていたん ですけど、いざ終わってみたらホッとした気持ちの方が強くて、思 ったほど喜べなかったです。気付いたらもう、次の選手権のことを 考えてました」(篠田)
目標を達成してもなお決して満足しないそのメンタリティは、王者 ・名古屋のゴールマウスを守るに相応しいものだ。

一方、Fリーグでは篠田の後塵を拝した関口も、その悔しさを糧に コンディションを上げ、全日本選手権では見事正ゴレイロの座を勝 ち取った。
「リーグ戦ではなかなか試合に出られず悔しい思いをしました。だ からこそ、この選手権に懸けていましたし、何としても自分が出て 優勝するんだ!という気持ちで今日までやってきました。結果を出 すことができて本当に良かったです」(関口)
選手権決勝では、味方が先制した直後の大阪・ヴィニシウスのシュ ートを身を呈して防ぐなど、幾度となく決定機を阻止。鋭く正確な ロングスローで八木聖人の追加点の起点にもなるなど大車輪の活躍 を見せ、1点差での勝利に大きく貢献した。
日本代表の関口と、タイプは異なるもののそれと同じレベルにある篠 田。「レギュラーゴレイロを固定せずに競わせる」というペドロ・ コスタのやり方は、2人が遜色ないほどにハイレベルだからこそ初 めて成り立つ起用法なのだ。
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