2018.03.16 Fri

Written by EDGE編集部

コラム

関口優志と篠田龍馬。名古屋オーシャンズの3冠を支えた“2人の正ゴレイロ”。

写真:本田由伸

国内3冠を達成した名古屋オーシャンズには“2人の正ゴレイロ”がいた。下部組織から名古屋一筋の篠田龍馬と、2年前にエスポラーダ北海道から移籍してきた関口優志だ。「関口は日本代表かもしれないが、篠田も遜色ない実力を持った選手だ。だから正ゴレイロを固定するようなことはしない。常にどちらにも出場のチャンスがある」。ペドロ・コスタ監督の言葉通り、リーグ戦やプレーオフでは篠田が多く起用され、全日本選手権では関口がスタメンを勝ち取った。ファインプレーがあればともに喜び、お互いにアドバイスをする姿は、まるで2人で1つのゴールを守っているかのようだった。
(文 福田悠)

正ゴレイロを固定しないペドロ・コスタ監督

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 全日本選手権決勝、後半残り30秒。

 名古屋オーシャンズがシュライカー大阪を2-1とリードし、3冠達成が目前に迫っていた。急ぐ大阪は、自陣左サイドで持ったアルトゥールから浮き球で一気に右前の相井忍へ送り、相井がこれをワンタッチで左奥のヴィニシウスへ。通れば決定的なチャンスになる場面だったが、読んでいた名古屋のゴレイロ・関口優志がエリア外まで飛び出し、間一髪スライディングで蹴り出した。

 土壇場でのビッグプレーに咆哮を上げる関口。するとベンチでは、この日サブに回っていたゴレイロ・篠田龍馬が関口と同じくらいの渾身のガッツポーズを見せていた。まるで自らもピッチ内で戦っているかのように--。

 大阪の最後の望みを絶ったこのワンプレーにこそ、この2年間2人が積み上げてきたものが凝縮されていた。

 今季の名古屋は強かった。ラファ、ルイジーニョ、ヴァルチーニョという実力派ブラジル人トリオを中心とした攻撃は破壊力抜群だった。だが一方で、堅固な守備がその攻撃力を下支えしていたという点も見逃してはならない。

 Fリーグのレギュラーシーズン33試合での失点数は66から59に減少。1試合あたり1.79。これはF リーグ初年度(07-08シーズン)の名古屋の1.57に次ぐ歴代2番目の少なさで、現行の試合数になって以降では最小だ。

 吉川智貴や西谷良介といった試合をコントロールできる選手を獲得できたのもその要因の1つだが、関口・篠田という2枚看板のプレーの水準が高かったこともやはり大きかったはずだ。2人のゴレイロの1シーズンを通しての活躍が、王者復活の礎となった。

「関口は日本代表かもしれないが、篠田も遜色ない実力を持った選手だ。だから正ゴレイロを固定するようなことはしない。常にどちらにも出場のチャンスがある」

 ペドロ・コスタ監督が就任以来2年間、一貫して言い続けてきた言葉だ。

 日本代表ゴレイロがチームにいれば、普通ならもう1人のゴレイロにはそうそう出番は回ってこない。累積警告での出場停止や退場、怪我などのアクシデントの際にスクランブルで出場するケースがほとんどのはずだ。

 だが名古屋の場合は違う。2年前、ペドロ・コスタの監督就任と同時に関口が加入。以来、タイプの異なる2人をその時の状況や両者のコンディションによって使い分けてきた。日々の練習からハイレベルな競争が繰り広げられ、その争いに勝った方が公式戦のピッチに立つ権利を得る。

 代表常連組の関口といえども、その肩書きだけで試合に出られるわけではない。まずは練習の中で篠田よりも高いパフォーマンスを見せなければ、公式戦のピッチには立てないのだ。現に、今季のFリーグではむしろ篠田の方が中盤戦以降のほとんどの試合に出場し、リーグ制覇に大きく貢献した。

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ともに代表レベルだからこそ成り立つ競争原理

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