2018.01.09 Tue

Written by EDGE編集部

Fリーグ

おかえり、稲葉洸太郎。怪我を乗り越えたベテランが復活ゴール後に見せた“涙”の意味。

俺はここにいるぞと伝えたかった

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 稲葉は、昨年の11月頃にはコンディションが整い始め、12月頃には「本調子になっていた」。でも、純粋にチームメートとのメンバー争いを繰り広げる中で、ベンチ入りすることができなかった。

「昔であればすぐに試合に出られていたかもしれないが、今は自分が100パーセントでやっても出れるか出れないかというチームになった。そこは今までとは違う焦りもあるけど、一方で嬉しさもある。僕自身、ケガをする以前よりもいい状態になっていると思うけど、だからこそ、競争には負けたくない」

 稲葉は今、35歳。ベテランと呼ばれる年齢になった。そんな選手が簡単には出場メンバーに入れないほどの競争がある。それはチームとしては喜ばしいことであり、同時に、そういうチームの中でベテランがメンバー入りするために奮起しているということもまた、理想的なチーム状態だと言えるだろう。

 それでいてすみだには、仲間の活躍を心から喜べる一体感がある。

「ケガをして出られなかった約半年間で、フウガは本当に一つになれるチームで、みんなで戦えるチームだということを、改めて実感できた」

 稲葉がそう話すように、すみだには、他のチームには真似できないチーム力がある。それは、キャプテンとしてピッチに立った清水和也の姿に象徴される。「僕がチームに入った時からお世話になってきた人なので嬉しかったし、本当にすごい人だと思った。自分のゴールよりもずっと嬉しかった」。清水はこの試合で4得点と大爆発したが、そんな自分の得点以上に、誰よりも稲葉のゴールに喜びを表現していた。

 選手の長期離脱は決して、珍しいことではない。もちろん、「復帰」はその選手にとっては大事なことだろう。ただ選手の復帰戦は、チームにとってはあくまでも通常の試合の一つにすぎない。それに稲葉が何年も離脱していたわけではない。にもかかわらず、すみだはこの試合で、優勝決定戦のような歓喜を起こした。

 そこに、フウガドールすみだというチームのカラーが表れている。この試合できっちりとゴールを決めた稲葉もすごい。ただそれ以上に、この試合を特別な一戦として戦えたチームが、何よりもすごい。彼らを応援するファンやサポーターはきっと、そんなすみだの“チーム愛”に共感しているのだろう。

「みんなへの恩返しの意味も込めて、俺はここにいるぞと伝えたかった。だから点を狙っていた」

 稲葉は有言実行、ゴールを決めてみせた。でも、稲葉はもう、一昔前のような「ドリブラー」と表現されるだけの選手ではない。以前の勝負強さはそのままに、彼は今、オールラウンダーとしてプレーしている。

 アラとして仕掛けるだけではなく、フィクソの位置でパスをさばき、ピヴォとして前線で起点を作る機会も多い。ドリブルがS級ならば、他のあらゆるプレーはA級。そこには、ベテランならではの味がある。

「プレーオフを戦うためにも、メンバー争いに食らいつくためにも、もっとプラスを作らないといけない」

 稲葉がこのケガをどう乗り越え、どう進化を遂げたのか。その答えは、この先の戦いにある──。

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DUARIG Fリーグ 2017/2018プレーオフ
1月13日(土)/駒沢駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場
14:30 1回戦 ペスカドーラ町田(リーグ戦2位)vs.シュライカー大阪(リーグ戦5位)
17:30 1回戦 湘南ベルマーレ(リーグ戦3位)vs.フウガドールすみだ(リーグ戦4位)
1月14日(日)/駒沢駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場
14:30 4位/5位決定戦
17:30 プレーオフ準決勝

<関連リンク>
DUARIG Fリーグ2017/2018 プレーオフ1回戦 対戦カード決定のお知らせ

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