2018.01.07 Sun

Written by EDGE編集部

Fリーグ

【永井義文のフットサル観戦力講座】第1回「浜松・中村友亮の隠れ蓑ゴール術」

写真:本田好伸

元日本代表であり、昨シーズンをもってシュライカー大阪で現役を引退した永井義文が、Fリーガーのプレーを徹底解説するコラムがスタート! 将来的に、指導者としてFリーグ監督を目指す永井は普段からどんな視点で選手を見ているのか。AbemaTVのハイライト動画を元に、永井の独特な視点と、関西人ならではのユーモアに詰まった解説をお届けする。第1回目は、アグレミーナ浜松の“ダイナモ”中村友亮が第31節で見せた技ありゴールを紹介!
(文 永井義文/元フットサル日本代表)

中村選手との良い思い出はありません(笑)

 こんにちは! 永井義文です!

 この度「永井義文のゴールシーン徹底解説コラム」をスタートすることになりました。トップレベルの選手たちのすごさや、ここでしかえ明かせない“マル秘”エピソードをお伝えできればと思っています。

 まず、なぜこのようなコラムをスタートしたかと言いますと、「もっとFリーガーのすごさを知ってもらいたい!」、「ゴールや一つひとつのプレーには選手のすごさや特徴が詰まっている!」、そしてそういうことを「一人でも多くの人に伝えたい!」という思いがあるからです。このコラムを通して、Fリーグを戦う選手たちのプレーや人柄を知るきっかけにしてもらえたら願ってもありません。

 さて、第1回目は、第31節のアグレミーナ浜松とペスカドーラ町田の試合で飛び出した、浜松の中村友亮選手のゴールを徹底的に解説します! 題して「忍者・中村の隠れ蓑ゴール術」です。

 これは、AbemaTVで編集された「ベスト3プレー」でピックアップされたシーンなのですが、このゴールが生まれた要因は大きく分けて3つあります。

①敵の後ろに潜んでいたこと
②パワープレーの基本サポートをあえて作らなかったこと
③中村選手のスピードが素晴らしかったこと

 では、順を追って説明していきます。

①敵の後ろに潜んでいたこと

 ゴレイロのユニホームを着た中村選手は、町田の金山友紀選手の後ろにあえて隠れています。まるで忍者の隠れ身の術のようですね(笑)。そして、敵の背後から一気にスピードを上げてゴール前でシュートを打ちました。これが敵の後ろではなく、あと1メートルでも横に立っていて敵の視野に入っていれば、間違いなくシュートブロックされていたはずです。マークしているのは町田の“スピードスター”金山選手なので、この1メートルのズレというのは、確実に修正してくるからです。

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②パワープレーの基本サポートをあえて作らなかったこと

 パワープレーをしている場合、キックインの時には「間」と言われる相手DF4人のスペースの中に誰かが入り込んでサポートするというのがセオリーとされています。通常、それによって、DFが間に入ってくる選手を警戒するようなポジショニングを取ります。そういった駆け引きがあることで、オフェンス側は、自陣にいる味方にパスをして、パワープレーの攻撃をスタートできるからです。

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 もし間にサポートする選手がいなければ、相手はキックインのボールを直接インターセプトできるポジションを取ることができます。オフェンス側のゴレイロは相手陣内の最前線にいるので、相手DFの間にサポートを作らないというのは、非常にリスクを伴う状態だと言えます。

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 しかし、今回はこのセオリーを逆手に取ったゴールでした。あえて町田のDF間にスペースを空けておくことで、そのスペースを一瞬のスピードで突いてゴールを決めました。

③中村選手のスピードが素晴らしかったこと

 中村選手のオフ・ザ・ボールにおける一瞬のスピードは、間違いなくFリーグナンバーワンです。彼のステップワーク、スピード、敏捷性、いずれの能力もFリーグにおいてトップクラス。オフ・ザ・ボールの動きの質が非常に高く、相手からすると、まるで一瞬、消えるような動きをします。まさに忍者です(笑)。

 そんな忍者・中村選手が、このような隠れ身の術を使用してきたら、必ずといっていいほど、隙を突かれてしまいます。だからこそ、こういった素晴らしいゴールが生まれるのです。

 余談ですが、個人的には、中村選手との良い思い出はありません(苦笑)。

 僕が現役の時には、試合で何度か対峙するシーンもありましたが、80パーセントくらいの確率でマークを外されてしまいました。中村選手の速さのせいで、チームメートにいつも迷惑を掛けてしまいました……。

 中村選手は、普段はとても優しいので、少しは遠慮して動いてほしかったですね(笑)。でもつまり彼が、敵にとっては心から嫌だと感じる選手だった、ということです。

 今週末、浜松は第33節にシュライカー大阪と対戦します。プレーオフ争いが佳境を迎える中、大阪にとっては絶対に勝利が必要な試合ですから、忍者・中村選手を封じることができるかどうかは、勝負の明暗を分けると言えるでしょう。ぜひ、この点にも注目して試合を見てみてください!

永井義文(ながい・よしふみ)
2008年、大学在学中からシュライカー大阪の主力選手として活躍。フットサル日本代表として国際大会で活躍する中、2014年には単身イタリアへ渡り、イタリアフットサルリーグ セリエA2「ASD FUTSALISOLAに在籍。リーグ戦14試合に出場して10得点を挙げる。2015年に再びシュライカー大阪へ戻り、2016-2017年シーズンはFリーグ優勝、フットサル日本選手権優勝の2冠獲得。2017年4月に引退を決意。現在は指導者として、各種メディア、イベント出演、解説など、日本フットサル界を盛り上げるべく活動中。

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