2017.08.16 Wed

Written by EDGE編集部

Fリーグ

ずっと報われなかった。だけど諦めなかった。“究極の苦労人”府中・飛騨龍典が10年越しで立ったFリーグのピッチ。

写真:本田好伸

「彼の1日だった」。8月5日の第9節、デウソン神戸に勝利した府中アスレティックFCのキャプテン・皆本晃は、その試合がFリーグ初先発だったゴレイロの活躍をたたえた。飛騨龍典。府中に入ってから7年目、32歳にしてようやくFリーグデビューを果たした“遅咲きゴレイロ”は、どのような道のりを辿ってきたのか。
(取材・文 本田好伸)

32歳で初めてピッチに立った苦労人

 8月5日(土)に行われた6クラブ共同開催、連戦の初日、第9節の府中アスレティックFCのゴールを守っていたのは、飛騨龍典(ひだ・たつのり)という聞きなれない選手だった。

 日本を代表する2人のゴレイロ、クロモトと田中俊則に続く“三番手”として、今年4月にサテライトから昇格した飛騨は、クロモトが前節の試合で負傷した影響もあって急遽、先発を任されると、指揮官の期待を上回るプレーで応えてみせた。

 デウソン神戸の度重なる猛攻に遭いながらも、ファインセーブを連発。キャプテンの皆本晃は試合後、「彼が頑張ってくれたことで勝運がこちらにきた。飛騨の1日だった」と称賛した。府中が5-1で快勝を収めたこの試合が、飛騨にとってのFリーグデビュー戦だった。

HND_9962

 谷本俊介監督も「7年前アスレに来てから地道に努力を続けた選手が活躍したことは、指導者にとって励みになる」と喜びを口にした。飛騨は1985年5月生まれの32歳。フィールドプレーヤーでは今年、湘南ベルマーレで異例の選手復帰を果たした横澤直樹という“41歳の異端児”がいるが、30歳を過ぎてからFリーグのピッチに初めて立った日本人ゴレイロは、間違いなく稀有な存在。俗に言う、遅咲きの選手だ。

 谷本監督は、飛騨をこう評価する。「常に一生懸命できるし、人柄も明るい盛り上げ役。ピッチ外の貢献度も高い。プレーの精度はまだまだだが、フットサルに長く関わっている分、その経験は非常に大きい」。

 年齢からも想像できる通り、彼のデビューまでの道のりは、決して平坦ではなかった。“苦労人”という言葉では片付けられない、多くの人々に勇気を与える生き様が、そこにはあった──。

<次ページ>名だたるメンバーがそろう名古屋の練習生に

1 2 3 4

◀︎前の記事 トップ ▶︎次の記事