2017.06.16 Fri

Written by EDGE編集部

Fリーグ

【動画連動解説】開幕戦の勝敗を分けた2本のFK。北海道ゴレイロ坂が語った、キッカー・アルトゥールとの心理戦。

写真:本田好伸

オープニングゲームで昨季の覇者シュライカー大阪に挑んだエスポラーダ北海道。開幕男・水上玄太や今季キャプテンを務める酒井遼太郎の2ゴールなどで大阪に迫ったものの惜しくもあと1点及ばず、3-4で敗れた。序盤に3点を連取されたことが響いた結果となったが、そのうちの2点はFKから、いずれもアルトゥールがアシスト、ゴールしたものだった。試合後、北海道のゴレイロとして先発した坂桂輔は、サッカーのGKとは異なるフットサルのゴレイロの難しさについて語った。
(文・福田悠)

わずかなズレを見逃さなかったアルトゥール

 立ち上がりにチアゴのゴールで幸先よく先制した大阪は続く前半6分、ゴール前右45度の位置で直接FKを獲得。追加点の絶好のチャンスを迎えた。

ボールの前には左利きのヴィニシウス(10番)が立ち、第2PKマーク付近には強烈な右足を持つアルトゥール(5番)が、ファーポストの前には今季新加入の相井忍(14番)が立った。このピンチに北海道のゴレイロ坂桂輔は壁を3枚用意。

ボールの前にいたヴィニシウスが蹴らずに縦に抜けてくる動きに備えるため、ニアの1枚はゴールライン上まで下げて段差のついた3枚の壁を作った。①ニアへのシュートコース(キッカーから見て右側半分)を3枚の壁で消し、②ファーへの枠内シュート(左側半分)には坂が対応。③ファーポスト前にいた相井へのパスコースは、第1PKマーク後ろやや右にポジショニングした北海道の小幡貴一(3番)がケアしていたはずだったが、ここで小幡と坂の間で認識のズレが発生してしまう。

キッカーのヴィニシウスがアルトゥールに緩い戻しのパスを送ると、小幡が強いシュートを警戒するあまりアルトゥールに寄せてしまい、ファーの相井へのパスコースが空いてしまったのだ。

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「あの場面はゴールまで近かったことに加え、(ヴィニシウス、アルトゥールの)強いシュートを警戒してニアを厚くしました。ファーの2枚(ファーポスト前の相井と少しゴールから離れた位置にいた小曽戸允哉)についてはDF1枚(小幡)でゾーンっぽく2枚をケアさせて、アルトゥールに出たら自分が前に出ようと。アルトゥールにパスが出てもファーだけ見ておいてくれれば良いよということを、僕がきちんと(小幡に)伝えなければいけませんでした」(坂)

 セットプレーの守備の場面では基本的にはゴレイロの指示が絶対となる。笛が鳴るまでの数十秒の間に壁の枚数やポジショニングを指示し、どのプレーに誰がどう対応するかを伝える。それによって、ピッチにいる5人全員が守り方を共有している状況を作らなければならない。

 この失点の場面ではヴィニシウスやアルトゥールのシュートに対応するためニアを厚くしている分、小幡がファー2枚をケアする状況になっていた。小幡は最もゴールに近く危険な相井へのパスコースを最優先で切らなければならないが、坂がその役割を明確に伝え切れていなかったことで、「坂も小幡もアルトゥールのシュートをケアしている」、要は2人の動きが被ってしまっている状況ができてしまったのだ。

 その瞬間のズレを、名手アルトゥールが見逃すはずはない。「はじめはシュートを打とうと思っていたが、直前まで相手の動きを見て(相井)忍へのパスを選んだ」(アルトゥール)と語った通り、自らの強シュートをエサにしつつ、相井に完璧なラストパスを通してみせた。

<次ページ>坂の心理を読んでいたアルトゥール

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