2017.04.07 Fri

Written by EDGE編集部

Fリーグ

なぜ、若者はFリーグから去っていくのか? 21歳、水上洋人の“早すぎる引退”から考える

10年前に夢見たフットサル界は存在しない

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 Fリーグは今、岐路に立っている。創設当初から掲げてきた「プロ化」をこのまま推し進めるのか、もしくは別の道を探るのか。「プロ化」と言っても、定義は曖昧である。仮に、Fリーグで唯一の完全プロクラブ、名古屋オーシャンズの水準を最高としても、それがJリーグの最低の水準にすら達していることはないだろう。

 競技も異なり、「規模が違うから」と言えばそれまでのこと。ただし、そこに選手が在籍し、生活をかけてプレーしている以上、彼らがプロアスリートの水準を維持して暮らしていけることこそが理想の姿だろう。果たしてFリーグは、現状のままで、そうした環境を整備していくことができるのだろうか。

 水上は言う。「バスケットボールができたのだから、フットサルだってできると思う。辞めてしまう人が言うべきことではないかもしれないが、若く、可能性のある選手は、何かを信じて頑張ってほしい。もしかしたら5年後、プロ化しているかもしれないから。僕は、そういう未来を信じている」。

 去る者の言葉に、今一度、心の底から耳を傾けないといけない。

 一方で、別の選択肢もある。多くの選手は、選手であると同時に、クラブが運営するスクールのコーチ、クラブスタッフ、スポンサー企業への就職、学生といった立場にあるが、この“二重性”をベースに据えたリーグである。実業団のような企業スポーツのイメージに近いが、「掛け持ちでフットサルをする」ということだ。

 例えば現在、浦安の星翔太が推奨している「プレーイングワーカー」。「選手のうちから社会を経験することで、それが選手としても身になり、引退後にも生きる経験値になる」ということを目指して、プレーヤーであると同時に、社会人としてキャリアを重ねていくというスタイルを、彼は現在、自ら実践している。

 アスリートのキャリアについては今、様々な議論が進んでいる。文部科学省が2012年に策定した「スポーツ基本計画」では、人としての人生と競技者としての人生を同時に送ることを意味する「デュアルキャリア」が政策課題として位置づけられた。さらに今年、スポーツ庁の委託事業として「スポーツキャリアサポート推進戦略」を受託する日本スポーツ振興センターが「スポーツキャリアサポートコンソーシアム」を創設。トップアスリートのキャリア支援に、スポーツ団体、大学、企業が一体となって取り組んでいく方針が示された。

 いわゆる「セカンドキャリア」はどのプロスポーツでも課題とされ、Jリーグなどでもキャリア支援に力を入れるクラブが増えてきている。今のフットサル界で何不自由なく稼げていたとしても、その後の人生が順風満帆とは限らない。指導者や解説者といった道も限りがある。フットサルの現実は、他競技以上に厳しい。

 前途ある若者が競技を全うできない。もちろん人生は人それぞれ。何に価値を置き、どこを目指すのかは口出しできない。それでも、現状のままでは、水上のような決断を下す選手は後を絶たないだろう。

 ビッグスポンサーを獲得して充実したPRで認知が広がり、分配金を含めて運営力でクラブが潤い、外国人選手を獲得し、日本人選手とも全員がプロ契約を結べて、競技力と人気を兼ね備えたリーグになる──。

 10年前にみんなが夢見たそんなフットサル界は、どこにも存在しない。では今、Fリーグとしてどんな未来を思い描いているのか。改めて人々にビジョンを示し、そして実際に行動すべき時期に直面している。

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