2016.08.12 Fri

Written by EDGE編集部

コラム

【U-18】世代最高峰の決勝を制した帝京長岡。今すぐFリーグにほしい2人の逸材、齋藤日向&安井嶺芽

フットサルに興味を示す2人の逸材

HND_1597

 大会を通じて、最も安定した強さを示したのが帝京長岡だった。全員が試合を重ねるごとに自信を付け、それぞれの特徴を発揮するなかで結果を残していた。なかでも、MVPを獲得した齋藤のパフォーマンスは圧巻だった。古沢徹監督が最も信頼を寄せる選手の一人であり、特に決勝ラウンドに入ってからはベンチに座る時間が極端に少なく、ほとんど試合の9割くらいの時間をピッチで過ごした。

 状況を見極める視野の広さとチャンスを見付ける戦術眼、どこへでも狙ったボールを蹴れるキックの種類と精度、自らもゴールを奪える得点力など、まるでフウガドールすみだの西谷良介をほうふつさせるような、非の打ち所がないプレーヤーだ。

「中学ではあまりうまくなかったが、高校では日頃からパス回しのトレーニングが多く、近くのパスや遠くのパス、パススピードの緩急、どっちの足に出すのか、動きのクイックの強弱で相手をはがすことなど、意識していることがこの大会でもできた」(齋藤)

 帝京長岡のメンバーの大半は中学時代、下部組織でもある長岡JYFCでプレーし、全日本ユース(U-15)フットサル大会で頂点を経験している選手も多い。そんななか齋藤は、2014年1月の同大会で長岡ビルボードFCジュニアユースの選手として出場し、1次ラウンドで敗退している。当時からそれほどフットサルをプレーしていたわけではなく、今でもフットサルの知識が深いわけではない。それでも、ピッチで見せるプレーは、フットサルの競技特性をよく理解しているからこそ繰り出せる技であふれている。

「去年の11月くらいからはサイドバックをしていて、それまでは真ん中のポジション。そこでは360度、どこからでも相手が来るので、そういう敵との距離が近い部分はフットサルと似ていて、その感覚を生かすことができた」(齋藤)

 齋藤の根本にあるフットボールセンスにはただ脱帽するばかりだった。まさに、今すぐにでもFリーグにほしい逸材である。齋藤自身、今後の選択肢の一つにフットサルがある。「まだ冬の選手権があるので進路は悩むが、(サッカーかフットサルの)どちらも考えながら。日々のトレーニングはサッカーにもフットサルにもつなげられるので、両方ともうまくなれるように毎日やって、それであとは悩みながら決めたい」。

 もう一人、安井もまた、今大会で存在感を示した。安井の最大の武器はキックにある。長短、強弱自在のパスで、幾度となくチャンスを作り出し、決勝戦では、1-4から追い上げる豪快なシュート、5-5に追い付いた直接FK弾、6-5と勝ち越した第2PKと、大事な場面のゴールでチームに勝利をもたらした。

 ただ度肝を抜かれたのは、釧路江南高校との準々決勝で見せた、推定30メートルの低弾道の強烈なクロスパスだった。強烈にしてしなやか、味方以外誰も触れることのできない糸を引いたようなパスは、Fリーグでも滅多にお目に掛かれるものではない。そこから齋藤が正確にトラップしてゴールを決めるまでの一連の流れは、超Fリーグ級だった。安井はそれ以外にも、何度も斜め方向のスペースを突いたゴールに直結するラストパスを供給してきた。味方の位置を把握し、そのコースに左右の足で寸分違わぬパスを送れる技術は、20メートル×40メートルのフットサルのピッチで、間違いなく一撃必殺の武器になっていた。

 「フットサルは中学時代に長岡JYFCでもやっているし、もともとやってみたいと思っていて、フットサルの強い大学への進路も考えていた。まだどちらに進むかは分からないが、今回の経験が生かせるのであればフットサルでもやっていきたい」(安井)

 帝京長岡は他にも、類い稀な突破力を示した江島唯人、8ゴールを挙げて(表彰はないながらも)得点王の荒井、前線でチャンスを作り出す澁谷、フットサルの守備に適応し何度もビッグセーブを見せたGK土岡優晟など、際立つ選手を多数擁していた。

 3大会連続出場となった今年は、過去の2年に比べて体格的には劣り、小柄な印象は少なからずあった。それでも、全員がハードワークし、かつ各々の特徴を随所に発揮できるチームワークを兼ね備え、間違いなく日本一をつかむにふさわしいチームだった。

1 2

◀︎前の記事 トップ ▶︎次の記事